大判例

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東京高等裁判所 昭和39年(行コ)27号 判決

一、控訴人は、大正六年四月一二日新潟県南蒲原郡福島村役場職員として採用され、引続きその職に在つたが、昭和二一年一月三一日一旦退職し、その後昭和二四年七月一一日再び同村役場職員に採用され、昭和三一年九月三〇日同村と新潟県南蒲原郡大面村が合併して被控訴村になるとともにその職員として引継がれたが、右合併を機会に昭和三二年八月一七日退職したことは、当事者間に争がない。

二、それぞれ成立に争のない乙第一号証、乙第二号証、乙第三号証の一、二、乙第五号証、乙第一八号証、乙第二一乃至第二三号証、原審証人真島隆英、同滝沢信次郎の各証言、原審における被控訴村代表者木菱新左衛門本人訊問の結果を綜合すれば、条例第五号は旧福島村の退職手当条例の規定を殆んどその侭の形で引継いだものであつて、条例第五号の附則第二項の規定も右旧福島村の条例附則第二項をほぼ同様の字句で踏襲したに過ぎないのであるが、この旧福島村の条例の制定に当つて、提案者及び制定者の意思は、それぞれ任命権者を異にする村、村議会事務局、村教育委員会事務局、村農業委員会(旧農地委員会を含む)の相互間において、職員がその一から他に任命換えになつた場合を転属と称し、また、その者が再び旧任命権者のもとに任命換となつた場合を再就職といい、これには控訴人のように一旦退職しその二、三年後に再び就職した場合は含まれないと解していたこと、また、条例第三二号は、第三条に「……転属又は再就職した職員の既往の前後の期間はすべてこれを合算して条例の規定する在職年数に通算する」と規定しているけれども、同条例が制定された当時新潟県当局は、退職手当算定の基礎となる在職期間の計算については、職員が退職の日又はその翌日に再び職員となつた場合を除き、原則として引続いたものに限るのが退職手当制度に関する一般的な考え方であるとして、市町村の退職手当条例にあつてもこれにならうよう行政指導をしていたが、条例第三二号の制定に当り、特に右の行政指導と別異に措置すべき旨の論議はなされていなかつたことが認められる。更に、前掲乙第三号証の一、二によると、条例第三二号が町村合併促進法第二四条第三項の規定に従つて制定されたものであることは明らかであるが(同条例第一条参照)、同条例は、特に第五条を設けて、「前条退職職員に対しては次のとおり優遇する。昭和三二年九月二九日迄の退職職員に対しては三号俸三ケ月遡及増俸し尚一ケ年分の給料を支給する」と規定しており、以上の諸点から見ると、同条例が、合併に際しての退職職員に対し、右の優遇措置以上に、更に、控訴人主張のような在職期間通算についての優遇迄も考慮しているものとは解し難いのであつて、従つて、条例第五号附則第二項及び条例第三二号第三条にいう「再就職」の意義については、他の公務員退職手当制度の一般の例と同様に、本件のような一旦退職した後二、三年を経過して再び採用された場合を含まないと解せざるをえない。

(奥野 野本 海老塚)

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